Q : お盆は何をすればいい?
浄土真宗に限らず、先祖の霊を迎える仏事はありません。
お盆になると、精霊棚を設け、盆提灯を飾り、精霊馬(ナスやキュウリを動物に見立てたもの)を用意したり、お盆の行事が行われる地域もあります。
では、浄土真宗の門信徒は、お盆に際して、何をすれば良いのでしょうか?
浄土真宗では、お盆だからといって、盆提灯を飾ったり、先祖の霊のために迎え火や送り火を焚いたり、精霊棚、精霊馬を用意したりするようなことは一切致しません。
なぜなのでしょうか?
「お盆になると地獄の釜の蓋が開いて先祖の霊が帰って来る」という教えは、もともと仏教にはありません。
ですから、浄土真宗に限らず、すべての仏教において、先祖の霊を迎えるような仏事は存在しないのです。
それでは、浄土真宗はお盆に何をするのか?
在りし日の故人の顔を思い浮かべるとき、様々な思い出がよみがえってきます。
もう、この世で会えない身となってしまった故人ですが、私達の確実な未来の姿でもあります。
日頃、゛自分が死ぬ身である゛事を忘れ、生に安心しきっていますが、“死”という無常の虎は容赦なく襲い掛かってくるのです。
「やがて必ず死ぬのに、なぜ生きるのか? なぜ生きていかねばならないのか?」人生の根本問題を仏教の教えによって解決する勝縁とするのがお盆です。
お盆に親戚一同が集まって、僧侶に読経してもらうところが多数ありますが、読経を「死者のためにあげてもらっている」と思われてのことならば、それはとんでもない仏教の誤解です。
「死者のために読経するのは迷信だ」と、その誤りを教えて下されたのは、実に仏教を説かれたお釈迦様なのです。
『お経』とは、゛お釈迦様が苦しみ悩む生きた人間を幸福にするために説かれた教え゛を弟子たちが後世の人に書き残したものです。
だから、死人になされた説法は一つもありません。
厳粛な仏事を縁に無常を感じて聞法することは、有り難い勝縁となりましょう。
お盆に、一同に集まった家族や親戚の皆さんが、お経に説かれている教えを聞かせていただき、そこに説かれてある真実を知らされてこそ、お盆も意義深いものとなるのです。