お墓に花を供えるという行為は、故人への感謝や追悼の思いを形にする大切な儀礼です。
その際、どのように花を活け、どのような花を選ぶかによって、故人への供養の気持ちがより深く伝わることでしょう。
美しい花を、失礼なく、そして故人の思い出に寄り添うように供えたいと願うのは、ごく自然なことです。
ここでは、そんな皆様の想いを形にするための、お墓花を活ける際の基本的な作法と、花選びにおける心遣いについて詳しく解説していきます。
お墓花を失礼なく活ける基本の供え方
左右対称にするためのバランスの取り方
お墓に花を供える際には、正面から見たときに左右対称で、全体として安定感のある逆三角形のシルエットになるように活けることが基本とされています。
これは、お墓参りに訪れた際に、どのような角度から見ても美しく、整然とした印象を与えるためです。
具体的には、まず左右の花立(または花瓶)の設置位置を確認し、それぞれの花束の高さやボリュームが均等になるように意識します。
手前に配置する花はやや短めに、奥に向かうにつれて徐々に長くすることで、奥行きのある自然な広がりが生まれ、立体的な美しさが際立ちます。
花束をそのまま挿すのではなく、一本一本の花の配置を調整し、全体のバランスを見ながら整えていくことが、より丁寧で美しい仕上がりにつながります。
花束2セットを綺麗に揃える方法
お墓には、一対(2セット)の花を供えるのが一般的です。
二つの花束を綺麗に揃えて活けるためには、まずそれぞれの花束を手に取り、花の種類、色合い、そして茎の長さを均等になるように確認することから始めます。
必要であれば、花瓶の長さに合わせて茎の長さを切り揃え(切り戻し)ます。
花束を束ねた状態でも、左右の花瓶に配置した際に、見た目のボリューム感に大きな差が出ないように調整することが重要です。
また、花束の正面(最も美しく見える面)をどちらも同じ向きに揃えるように意識することで、統一感が生まれ、より洗練された印象になります。
輪ゴムや紐の処理方法
花束を束ねるために使用されている輪ゴムや紐は、そのままにしておくと見た目を損なうだけでなく、水に濡れて劣化したり、茎を傷めたりする原因となることがあります。
そのため、お墓に花を活ける前には、これらの留め具はできる限り取り除くことが推奨されます。
もし、花束の形を保つためにどうしても外せない場合や、茎がバラバラになるのを防ぎたいといった理由がある際には、輪ゴムや紐を目立たないよう茎の根元にまとめたり、花瓶の口に隠れるように工夫したりするとよいでしょう。
素材によっては水に強いものもありますが、可能な限り取り除くことで、より丁寧で美しい供養の形とすることができます。
お墓花選びで故人を偲ぶための注意点
避けるべき花の種類と理由
お墓に供える花を選ぶ際には、避けた方が良いとされる種類がいくつか存在します。
まず、棘(とげ)のある花、例えばバラなどは、故人や供養の場にふさわしくないとされる場合があります。
また、香りが極端に強い花は、周囲の参拝者の迷惑になったり、お墓の静謐な雰囲気にそぐわなかったりする可能性があるため、避けるのが賢明です。
さらに、毒性を持つ植物(キョウチクトウなど)は、誤って口にしてしまうリスクや、小さなお子様やペットが触れる可能性を考慮し、供えるべきではありません。
鋭い葉を持つ植物も、墓石や供養する人を傷つける恐れがあるため、注意が必要です。
おすすめの花の種類と選び方
お墓に供える花を選ぶ上で最も大切なのは、故人が生前好きだった花を選ぶことです。
故人を偲び、その思い出を共有する気持ちを形にすることができます。
また、その季節に咲く旬の花を選ぶことも、自然の移ろいを感じさせ、穏やかな供養の心を表すことができます。
色合いとしては、白、淡いピンク、黄色、紫など、落ち着いた控えめな色合いの花が、お墓の雰囲気に馴染みやすく、供養の気持ちを静かに伝えるのに適しています。
日持ちのする花を選ぶのも実用的です。
例えば、菊(特に洋菊)、カーネーション、トルコギキョウ、カスミソウなどは比較的長持ちするため、頻繁にお墓参りができない場合でも安心です。
故人へのメッセージを込めて、花言葉に意味のある花を選ぶのも、心のこもった供養となるでしょう。
造花を供えることの是非
造花をお墓に供えること自体に、絶対的な禁止事項はありません。
しかし、伝統的には生花を供えることが一般的です。
生花は、その瑞々しさや、やがて枯れていく姿を通して、生命の尊さや儚さを感じさせ、供養の心を表現すると考えられてきました。
一方で、生花がすぐに傷んでしまうような環境や、お墓参りの頻度が低い場合には、造花が選択肢となることもあります。
造花は水やりが不要で、長期間美しさを保つことができるため、故人を想う気持ちを形にする手段となり得ます。
ただし、造花を供える場合は、清潔に保ち、劣化や汚れが目立たないように日頃から手入れをすることが大切です。
また、あまりに派手な色合いや不自然な光沢のあるものは、お墓の雰囲気にそぐわない場合もあるため、選ぶ際には慎重さが求められます。
まとめ
お墓に花を供える際には、故人への敬意と穏やかな供養の気持ちを込めることが何よりも大切です。
活け方においては、左右対称で逆三角形になるようなバランスを意識し、花束の留め具は丁寧に処理することで、整然とした美しい姿になります。
花選びにあたっては、故人が好きだった花や季節の花を選ぶのが一番ですが、棘のある花や香りの強い花、毒性のある花は避けるのがマナーです。
造花を供えることも選択肢の一つですが、その場合も清潔に保つことが重要となります。
どのように花を供えるにしても、故人を偲び、安らかな眠りを願うあなたの心が、最も尊い供養となるでしょう。
